CONNECT WITH B-MONSTER

業界のMONSTERに訊くvol.2 「売れる」特産品を生みだす フードコンサルタント・料理人 宮崎 政喜さん

MONSTERS | 2017.02.02
シリーズ「業界のMONSTERに訊く」
ある分野を追求する専門家・経営者の話を訊き、プロになるまでの過程、想いを掘り下げる。ときに険しい道も乗り越え、さらなる挑戦を目指す姿を追う。

Vol2. 宮崎政喜さん(エムズ・ファクトリー代表 フードコンサルタント・料理人)
M’s FACTORY(エムズ・ファクトリー)代表。フードコンサルタント・料理人。岐阜県出身。10代続く枝豆農家に生まれ、イタリア、トスカーナにある本場2つ星リストランテ「DA CAINO」にて腕を振るう。全国各地の地域資源を活用した特産品の企画開発を手掛け、販路開拓支援、飲食店舗プロデュースなどさまざまな方面で活躍している。

お話を伺うのは、フードコンサルタント兼料理人の宮崎政喜さん。宮崎さんは、飲食店の店舗開発や商品開発のほか、年間の半分は6次産業化プランナーとして全国各地を飛び回る多忙な日々を送っています。

地域の農産物を活用し、「売れる」特産品を生みだす仕事に携わることになったその経緯や仕事をする上で大切にしていることについてお聞きしました。

宮崎さまインタビュー風景

数字も見れて企画もできる料理人

―宮崎さんのお仕事内容について教えて下さい。

大きく分けると3つの事業を行っています。

ひとつは飲食店の店舗開発事業です。年間20本ほど開業支援を行っています。「なにかお店をやりたい」というゼロベースの依頼もありますし、「カフェをやりたいけどやり方が分からないからプロデュースしてほしい」という場合もあります。メニューもレシピも一から作り、物件探し、販促も行います。

例えば、八王子の古民家を改装した欧風カレー屋「カキノキテラス」のプロデュース。依頼を受けたとき、古民家を使うことは決まっていましたが、何を提供するお店にするかはまだ定まっていない状態でした。
八王子をマーケティングリサーチした結果、人気のスープカレー屋が複数ある事が分かりました。みんなカレーは好きだけど、なかにはサラサラしたカレーが好きじゃない人も必ずいる。欧風カレーの潜在的ニーズがあると思った。マーケットを捉え、プロダクトをエリアに落とし込む「プロダクトイン(造語)」として、古民家の欧風カレー屋を開業。現在も毎朝11:30の開店前から行列が出来る繁盛店です。

古民家欧風カレー カキノキテラス

こういったノウハウを活かして、食の専門学校「レコールバンタン」では、経営マネジメントを教えています。 飲食店が今日100店舗オープンしたとして、10年後の今日残っている店舗は5店舗ほどです。甘い世界ではありません。だからこそ、テーブル上の計算だけでなく、実際に現場の調理やサービスの工夫次第で、月末どのくらいの収益が出るのかなどを具体的に教えています。

2つ目は卸売業、自分のプライベートブランドのサルシッチャやカレーソースなどを飲食店に卸しています。飲食業界は慢性的な人材不足なので、短時間でおいしい料理を提供できるように、という想いから行っています。


3つ目は6次産業化プランナーとしての仕事です。
地域振興を目的とする各機関、行政からの依頼で、年間の半分は地方に行っています。

宮崎さまインタビュー風景

地域資源を生かした特産品のブランディング

―6次産業化プランナーとはどんなお仕事なのでしょうか。

まず、6次産業化とは何か大まかに説明します。

  • 農畜産物、水産物の生産をする人が1次産業
  • 加工する人は2次産業
  • 売る人は3次産業

に分類されています。その農商工が手と手を取り合って協力しよう、新しい価値で商品を作ろうよという取り組みです。

農家の目線で言えば、流通できない規格外の野菜を加工して利益を生みたいけれど、どうやって加工するの、誰が売ってくれるのという問題があります。僕の仕事はそのお手伝いをすること。

具体的には、地域資源を活用した特産品の企画開発を手掛けています。レシピ開発からパッケージデザイン、販路開拓まで支援しています。 現在までに1000件以上の案件を手掛け、食品レシピ開発のジャンル は和洋中、菓子、ドリンクなどなんでも対応できます。

どの案件も、基本的に「NO」は言いません。
溶けないアイスを作ってと言われたら、「溶けにくいアイスなら作れます」とお答えします。固形物を入れるとアイスは溶けにくくなるので、おからをパウダーにして、ソフトクリームに入れるなど工夫はできますし、ゼロ回答ではなく代替案を出して、売れる商品を作っていきます。

6次産業化プランナーになるまでの道のり

―今のお仕事に至った経緯を教えてください。

とくに何かしたいという考えもなく、アパレルの販売員に

僕は岐阜の10代続く枝豆農家の長男として生まれました。若い頃はとくに何かしたいという考えもなく、アパレルの販売員として就職。その後、日本で流行り始めていた北欧家具を置いた西洋料理店を開きたいと思い立ち、料理の道へ。昼はレストラン、夜は社会人料理学校に通い、料理と経営を学ぶ日々を送りました。


「イタリア料理の本質、その背景や文化を学びたい」と思い渡伊
昼は厨房、夜は辞書と格闘する日々

一番左に立っているのが宮崎さん。左端に座っているのがバレリアシェフ

料理を学ぶ中でいちばん興味を持ったのがイタリア料理でした。イタリア料理店で働き始めましたが、「イタリアに行ったことがないのに、イタリア料理を作っているなんてダサい」と思い、その翌日には留学方法を聞きにイタリア大使館へ。そして、修業先を調べているうちに魅かれたのが、バレリアというイタリアでもトップクラスの女性シェフでした。

バレリアのいるイタリアトスカーナの2つ星レストラン「DA CAINO(ダ・カイーノ)」で、修業できることになったときは、嬉しかったです。初めは言葉が分からず、昼は厨房で飛び交う言葉をカタカナで覚え、宿舎に帰ったら辞書と格闘する毎日でしたが、とても充実していました。

―バレリアシェフのどんなところに魅かれたのですか。

女性は僕にない感性を持っていると思います。調理法や盛りつけに、真似のできないきめ細やかさがありました。彼女からいちばん学んだのはセンスです。センスっていうと抽象的かと思われるかもしれませんが、要は経験と実績です。

「白いお皿に盛るときれいだ」と言われたときに、「本当にそうかな」と一度疑ってみる。考えていくうちに「クリーム系の料理なら黒いお皿の方が映えるんじゃないかな」という発想が出てくる。イノベーティブな発想は経験と実績の組み合わせです。


マネージャー兼料理人として赤字の店を黒字に変える

帰国後、料理学校時代の恩師に請われて、飲食店の店舗再生事業を請け負う会社に就職しました。経営がうまくいっていないさまざまな店にマネージャー兼料理人として赴き、メニュー改定や人材育成、販売促進をして経営を黒字化していく仕事です。1年のつもりでしたが、結果的に5年の経験を積みました。


特産品の企画開発 6次産業化プランナーとして独立

その実績のおかげか、地方創生を目指す行政の方からもお声掛けいただくようになりました。当時、地方の農家を手伝うのは、中小企業診断士やコンサルタントの方でした。でも、実際に生産者の方が欲しいのは、売れるレシピや加工技術、販路です。自分の今までの経験が必要とされていると感じました。

おかげさまで今年、6次産業化プランナーとして独立して6年目になります。



宮崎さん 特産品ブランディング事例


―平塚に誇りを持ってほしい―ひらつか発ころころコロッケ「ひらコロ」(鳥仲商店)
ひらコロ

神奈川県平塚の地域資源を活用して新たな平塚名物をつくるためにプロデュースした商品です。2015年には湘南しらすと湘南レッド(赤たまねぎ)を使用したコロッケを販売、好評をいただいて2016年秋に新たに4種類仲間入りしました。

この「ひらコロ」は、最初、行政の方も地元の方も「湘南コロッケ」というネーミングにしたいと言っていました。でも、私としては地元の方にもっと平塚に誇りを持ってほしくて、名前に平塚を入れることにしたんです。「ひらつか」とひらがなにすると、ロゴとしてもかわいいし、「ひらコロ」と略すとコロコロと丸いイメージがある。名前のイメージから、コロッケの形も丸くてひと口で食べられるようにしました。

これだけに限らず、商品開発をするときの信念は「奇をてらわず定番でうまいもの」を作ることです。大手企業なら奇をてらってもいいですが、中小企業は小ロットでも長く売れ続けるものの方がいい。お客さんも定番のものの方が手に取りやすいですしね。

「ひらコロ」(鳥仲商店)
―樹齢1000年以上の巨木の年輪をイメージ―鳥取県日南町 自然薯バウムクーヘン「イチイの木」(自然薯屋おおえ)
イチイのバームクーヘン写真

折れたりして流通にのせられない自然薯を加工品にしたいとの依頼で、まず現地へ行きました。

その土地について調べていたところ、日南町の船通山の山頂付近には樹齢1000年以上といわれるイチイの樹(国指定天然記念物)があり、それを拝むために登山する人がいることを知りました。自分も、仕事仲間でありパッケージのデザインを担当してくれた石島さんと一緒に、1時間半かけて登山しました。実際にイチイの巨木を目の当たりにしてみて、この木を輪切りにしたイメージでバウムクーヘンを作ろうと思い立ちました。

農家さんだけで売るにはどうしても限界がありますから、農業資源と観光資源を組み合わせれば、巻き込む人を増やして販路を広げることができると考えたんです。

こちらも、おかげさまで作れば完売する人気商品です。自然薯パウダーを練りこんだ生地は、米粉よりしっとりもちもちで、別添えのむかご(自然薯の赤ちゃん)で作ったジャムをかけてもおいしいですよ。現在、更なる仕掛けも考えております。ご期待ください。

自然薯バウムクーヘン「イチイの木」(自然薯屋おおえ)

自分の目で確かめるからこそ新しいものができる

宮崎さんとデザイナーの石島さん。イチイの木を実際に見るために船通山に登った。

実際に自分の目で確かめるからこそ新しいものができるので、フィールドワークを大切にしています。
例えばイタリア修業もそうだし、レシピ開発でもそうです。 料理人なら、おいしいレシピをいくらでも作れます。でも、売れるレシピを作るとなるとまた別なので、今の流行を食べ歩いて分析したりもしますよ。

ハンバーガー屋さんのプロデュースのときはロサンゼルスとサンフランシスコに行ってトレンドを探ったし、今年はベトナム料理のためにホーチミンに行きます。アウトプットするためには、常に倍以上のインプットをしていかないといけないと思っています。

―全国を飛び回るのは大変ではありませんか。

最近子供も生まれて、妻や娘、愛犬と過ごす時間はとても大切です。しかし、東京にいて試作品だけ作って送っても、相手に熱意は伝わりません。ほとんどの農家さんにとって、加工品づくりは初めての試み。商品が売れるかどうかの判断は難しいと思います。それでも、みなさんが「宮崎さんが言うなら任せる」と言ってくださるのは、きちんとお会いして信頼していただいているからです。仕事のほとんどの部分はコミュニケーションだと考えているので、現地に行くのは必須なんです。

宮崎さまインタビュー風景

―b-monsterの会員の方は、健康を意識している方も多いですが、宮崎さんなりの健康の秘訣はありますか。

僕なりの健康の秘訣は、「ストレスフリー」です。日々、ストレスを感じないこと、ためないことだと思います。 学生から社会人になっても、ただ好きなこと、楽しいことだけをやってきました。 好きな事を仕事にし、誰も喜ばない仕事はしません。家族と過ごす時間や、大切な人に料理を提供することも大きな喜びだと思っています。

編集後記

「自分の目で確かめたい」という姿勢で物事に向かって歩んできた結果、経営コンサルと商品開発ができる料理人という独自の存在となった宮崎さん。今後の展望をお聞きしたら、「今は6次産業化プランナーとして農家のお手伝いをしているけれど、どこかの時点で、自分で農作物を作りたいと思って、農家になる可能性だってあります。もともと10代続く枝豆農家の長男ですしね。未来は誰にもわからないですよ。」と仰っていました。フットワーク軽く興味を持ったものを吸収して、今後もご活躍の場を広げていくのだろうと感じました。

PROFILE

宮崎 政喜

M’s FACTORY代表。フードコンサルタント・料理人。岐阜県出身。10代続く枝豆農家に生まれ、イタリア、トスカーナにある本場2星リストランテ「DA CAINO」にて腕を振るう。全国各地の地域資源を活用した特産品の企画開発を手掛け、販路開拓支援、飲食店舗プロデュースなどさまざまな方面で活躍している。

下記「プロフィール詳細へ」では、宮崎さんプロデュース商品や、おすすめのお取り寄せ食品もご紹介しています。

記事が気に入ったらSNSでシェア

RECOMMEND

b-monsterパフォーマーの横顔“KAREN”「誰にも見せていない自分を表現したい」
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔“KAREN”「誰にも見せていない自分を表現したい」
クールな雰囲気と愛嬌のある笑顔を併せ持つパフォーマー“KAREN”。人気パフォーマーたちを間近で見て、フロントスタッフから転身した彼女はどのような成長を遂げるのか。追い求める理想のパフォーマー像を語ってもらった。
2020.04.02
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"YUMI"「『行かなきゃ』でなく、『行きたい』が自分を変える第一歩」
朗らかな表情を浮かべながら、スタジオ内を颯爽と動き、ハードなプログラムを楽しく魅せるYUMI。池袋、梅田スタジオのオープンに関わり、また梅田、栄スタジオで1ヶ月派遣滞在するなど各地で頼りにされる人気者だ。そんな彼女の原点はそしてプログラムへの想いは?
2020.04.01
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"RINA"「身体と心を同時に鍛えて、理想の自分に」
低く落ち着いた声でキューイングしながら、情熱的にスタジオ内を動き回る青山の人気パフォーマー、RINA。彼女は「賑やかで元気にではなく、クールに盛り上がるプログラムがb-monsterらしい」と語る。彼女のプログラムに込めた心のうちを探った。
2020.04.01
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"HOSHI"「殻を打ち破って、一段上の自分へ!」
高いホスピタリティと熱量の高いパフォーマンスで、スタジオを魅了する羽田スタジオの人気パフォーマー、HOSHI。彼の研修時代の課題は表現力。いかに自分を出すかを悩み、そして苦しんだという。そんなパフォーマーになるまでの道のりを振り返り語ってもらった。
2020.03.06
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"Becky"「時には根性と気合が大事!」
明るく爽やかにフロントに立つ姿とは裏腹に、パワフルなパフォーマンスを見せるBecky。特に随所に見せる執拗な煽りは、時に「鬼のよう」と呼ばれるほど激しい。そんな情熱的なプログラムの背景にあるものは何か? 彼女の真意に迫った。
2020.03.03
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"Luana"「自分から楽しむことで、結果はついてくる」
明るく元気なプログラムで人気のLuanaは、音楽情報番組「music monster」出身のパフォーマー。華やかなその姿とは裏腹に、研修当時は一番の落ちこぼれで毎日泣いていたと本人は語る。パフォーマーとしての想いとともに当時を振り返ってもらった。
2020.02.26
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"KyoTa"「自分の人生を愛せ、自分の愛した人生を歩め」
b-monsterは生きがいといっても過言ではない場所と語る、銀座スタジオのパフォーマーKyoTa。LEONの紹介がきっかけでb-monsterに入社した彼は、クラブDJとしても活躍中。b-monsterにかける熱い情熱を持った彼の想いに迫った。
2020.02.19
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"Sarah"「音楽を楽しめたら勝ち!」
キレのあるパフォーマンスと明るいキャラクターのSarah。学生時代はロサンゼルスへダンス留学をして、帰国。b-monsterのプログラムを体験するや、パフォーマーになることを夢みた。果たして何が彼女を動かしたのか。軌跡を聞いた。
2020.02.17
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"Allie"「誰かの存在が、いつも自分の励みになる」
小柄な体ながら、パワフルなパンチと溢れるエネルギーでスタジオ中を沸かせるAllie。大宮スタジオのオープンを機にパフォーマー人生をスタートさせた彼女はそこで一体、何を見つけたのか。その軌跡を辿ってもらった。
2020.02.10
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"KAZKI"「限界を超えることが自分の自信になる」
スタジオ中に響きわたる盛大なコール&レスポンスと息をつかせぬアグレッシブなパフォーマンスで、高く支持されるKAZKI。今や現役では国内で一番のベテラン男性パフォーマーとなった彼の転機はいつだったのか。デビュー時から現在までを語ってもらった。
2020.01.27
b-monsterパフォーマーの横顔
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔"SAYU"「楽しみながら、激しい運動ができる幸せ」
情熱的なパフォーマンスと細部まで考え抜かれたプログラムで支持されるSAYU。常に高みを目指し、自分に厳しい彼女のその意識の高さは一体、どこから生まれたのか。その原点に迫った。
2020.01.14
b-monsterパフォーマーの横顔”RIO”「ポジティブになるプログラム」
MONSTERS
b-monsterパフォーマーの横顔”RIO”「ポジティブになるプログラム」
満面の笑顔を浮かべながら、高らかな声で「エンジョイ!」。途切れることなくスタジオ内を鼓舞し、高い支持を受けるパフォーマーRIO。その底抜けの明るさとパワーの裏側にあるものは一体何か? 熱く語ってもらった!
2019.12.26