日常動作で手軽にできるマインドフルネスメソッド
Googleやインテルなどの大手企業、アスリートなども取り入れていることで話題になっているマインドフルネス。実は、マインドフルネスの実践は「座禅を組んで瞑想する」だけではありません。今している日常動作に意識を集中するだけでも、精神が落ち着き、いろいろな気づきや発見を得られます。
本記事では、手軽に始められるマインドフルネスのメソッドをご紹介します。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、「今していること」に意識を集中するメンタルトレーニングです。
ジョン・カバット・ジン氏が禅から着想し、宗教色を排した「マインドフルネス低減法」という科学的研究によって開発したメソッドをベースにしています。
マインドフルネスの効果
今に集中することでパフォーマンスが上がる
溢れる情報や日々のスケジュールに追われていると、意識は未来や過去へとらわれている状態になりがちです。TVを見ながらいつの間にか食事を食べ終わっていた、過去の失敗や来週のプレゼンのことを考えて眠れなくなったなどの経験は誰にでもあると思います。
マインドフルネスでは、今そこにない事象に悩まず、今この瞬間をきちんと感じ、丁寧に味わうことに集中します。この状態なら、脳のエネルギーの浪費もせず、現在の出来事に落ち着いて対処できます。
心身が健康になる
無駄に過去や未来のことで悩まないので、精神的にも楽になります。
マインドフルネスで心身の不調が改善されることは、医学的にも証明されています。
日常動作で手軽にできるマインドフルネス
瞑想に時間を割かなくても、日常の動作で「今していること」に集中することで、手軽にマインドフルネスの練習になります。すぐにできるメソッドをいくつか紹介します。
1. メディア断ちをする
私たちの身の回りには、常に情報が溢れています。ときにはあらゆるメディアを見ないで過ごしてみましょう。TVやスマホ、ラジオもオフ。SNSやネットサーフィンもしないで、新聞や本も開きません。この空いた時間でなにをしたいか考えてみて下さい。
何もせずにぼんやりしてもいいし、手の込んだ料理やランニングをしてもいいかもしれません。自分の脳を満たしていた情報を空にする時間を設けて、平静でクリアな脳の状態をつくりましょう。
2. 姿勢を意識する
まず、姿勢を意識します。
「今、どんな姿勢をしているか」「体はそれをどう感じているか」の2つに注目してみて下さい。
自分の今の状態を把握できると、どう姿勢を正せばいいかも分かってきます。例えばパソコン作業に没頭して前かがみになっていると気づいたら、両足が床につくように浅く座りなおして背筋を伸ばして下さい。
食事のとき、運転中、会議中や歩いているときなど、気付いたときに姿勢を意識して下さい。また、気分が落ち込んでいるときも、まず姿勢を正すところから始めてみましょう。
3. 食べることに集中する
TVやスマホを見ながら食事することに慣れていたら、食事中は食べることだけに集中してみて下さい。食べ物の形や色を眺め、口に入れたらその香りや味を味わいます。食感やのどごしも感じながらゆっくり食事を楽しんで下さい。
1日3食の食事の時間をきちんと食べることに集中して過ごせたら、それは自分にとって豊かな時間を積み重ねることにもなります。一口ずつ味わうことで、食べ過ぎの抑制にもなります。
瞑想をする
最後に基本的な瞑想の方法を紹介します。 これは日常動作ではありませんが、少し時間があったら試してみて下さい。これは、5分か10分でも毎日行う方が効果的です。瞑想によって心が静まった状態を体験しておくと、いろんな状況下でも落ち着いて行動できます。
- 椅子に座るか、床に座ります。座るのが困難な場合は横たわります。
背筋を伸ばし、胸やお腹にたっぷりと息を吸い込めるようリラックスします。 - 呼吸に意識を集中させます。体の中で呼吸を一番感じることのできる部分をみつけて下さい。
呼吸をコントロールする必要はありません。自然に呼吸し、ただ呼吸に意識を向けて下さい。 - 息を吸い込み、吐き出すあいだに「さまざまに変化する感覚」に注意を向けます。
意識が呼吸から離れてさまよい出したら、また静かに呼吸に注意を戻します。
体はリラックスしたまま全てを意識している状態です。ただ座って呼吸していることを楽しみましょう。
編集後記
先日、「食べることに集中する」メソッドに挑戦しました。
いつもはTVを見ながら食べるところを、この日は電源オフに。静かな状態に慣れていないので、最初はソワソワしてしまいました。
静かな中で食事に集中してみると、飲み込む前にまた次を口に運んで食べ進めていることに気づきました。これを止めて、意識的にゆっくり食べると、お米の柔らかさや野菜の甘さを感じやすくなりました。よく噛んで食べたので、いつもより満足感もありました。
毎日は大変かもしれませんが、できる範囲で続けることで、今に集中する感覚を徐々に身につけていきたいと思いました。
参考文献・引用文献:ジャン・チョーズン・ベイズ著 石川善樹監修 高橋由紀子訳 『心を強く、やわらかくする「マインドフルネス」入門「今、ここ」に意識を集中する練習』(日本実業出版社 2016)